Photo by Keizo Kioku
INFORMATION
「あなたが誰かを好きなように、誰もが誰かを好き」は100枚ものふとんが重ねられた巨大なふとんの山の作品です。通称 「ふとん山」と呼ばれ、訪れた子どもたちはふとん山を登ったり、滑ったり、寝転んだり 自由に遊びまわります。ふとんの山の頂上はポストになっていて、小さなカードに自分の好きな人の顔を描いて投函すると、やがてそのカードは見知らぬ誰かに届けられます。
2005年からブリスベン、東京、バンコク、広島など様々な都市で行っているふとん山ですが、2011年の東日本大震災後、高い放射線量により外で遊ぶ機会が制限されている子どもたちに安全な遊び場を提供するために、2012年、クラウドファンディングによる日本中からのサポートによって福島県立美術館での開催が実現しました。最近になって外で遊ぶ時間の制限は解除されていますが、不安を抱えている人は多く、昨年5月にいわき市アリオス、今年2月には、福島県南相馬市のゆめハットで市内の子どもたちを対象に行われました。
2016年にMISA SHIN GALLERYで展示された作品は、福島県南相馬市の子どもたちが描いた自分の好きな人の顔を、小沢が模写した絵画、約30点で構成されました。さまざまな顔の絵は、一枚ごとに異なる色でグラデーションに彩色されたキャンバスに、人の顔や姿が線によって描かれています。キャンバスの上方には白いラインが施 され、それが顔の目の位置と重なり、全点連続して展示をすると顔の目線の位置は明るく一筋の光のように一直線に並びます。南相馬市の子供たちの好きな人たちのその眼差しは、彼方を見つめているようでもあり 私たちに何かを照らしているようでもあります。