Photo by Keizo Kioku
INFORMATION
「す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す」の元になっている《神兵パレンバンに降下す》は、1942年2月14日、オランダに統治されていた現インドネシアのパレンバン油田を、日本帝国陸軍・空挺部隊が、空からの落下傘降下による奇襲作戦で占領、勝利を収めた場面を記録した鶴田吾郎(1890-1969) の戦争画に着想を得て制作されました。この大勝利はおおいに喧伝され、「空の神兵」として軍歌や映画まで制作されました。小沢は日本軍の勇姿を描いたほとんどの戦争画が、銃口を向けている先に敵が描かれていないことに気づきます。小沢は《神兵パレンバンに降下す》を鏡面で模写することにより、銃口が自分自身に向き、他者に向けた銃口は、時間をかけてやがて己に向かってくることを示唆することを試みました。本作品シリーズは、2018年の千葉市美術館の個展で発表され、自身の手を使って戦争画という近代美術以降の最大の闇を辿ることを試みる小沢のライフワークのひとつでもあります。