ふたたび廃墟になったヒロシマ
この荒涼としたパノラマは、日本の、いや世界の風景や建築に刻み込まれた暴力についての思索を誘います。ここにあるのは、原爆によって焼失したかつての居住空間であり、磯崎はその残骸を「死んだ建築」と呼びました。同時代の建築家たちと同様、彼は建築環境からヒエラルキーやイデオロギー的な障害を取り除くことを目指しましたが、ここで彼は、消滅の光景をかつて制度や経済力を意味した壊れた建物のイメージと融合させました。彼にとって、都市、ひいては社会の再生には「想像力を働かせること」が必要だったのです。磯崎のビジョンは、歴史の教訓であると同時に、もし我々がその警告を見逃してしまうとどうなってしまうか、という予兆を示すものでもあります。建築は破壊行為と、失敗した地理的政治、破壊的技術、崩壊しつつある脆弱な社会の集合的な歴史を記録してます。
New York: The Museum of Modern Art「MoMA Highlights: 375 Works from The Museum of Modern Art」p250 – 251から翻訳
MoMA collection: https://www.moma.org/collection/works/816