Shimizu Jio
window
Friday June 28 – Saturday August 10, 2019
Opening Reception: Friday June 28, 18:00-20:00
Hours: Tuesday-Saturday 12:00-19:00 (Closed on Mon, Sun, Public holidays)
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photo by Keizo KiokuPRESS RELEASE
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MISA SHIN GALLERYでは2019年6月28日(金)から8月10日(土)まで、志水児王の個展「window」を開催します。
志水は、音や光、振動など物理世界を構成する微細な要素を表現素材とし、それらが引き起こす現象とその知覚、運動と要素の発生、芸術と自然科学との関係などを実証論的なアプローチで表現するアーティストです。
本展では、Twitterを用いた作品「window」を中心に、放射線(放射能)を捉えて十二平均律に変換する作品「decay music」を展示します。
Twitterをリアルタイムに世界規模で監視する「window」は、7ヶ国語に翻訳された「light」と「darkness」という2つのキーワードを含むtweetが、世界のどこかでつぶやかれた瞬間に左右2枚の発光パネルに明滅し、世界規模の思考の動きを示すビッグデータが顕在化する作品です。
2枚の発光パネルは中央のパネルとともに、ヒエロニムス・ボスの三連祭壇画『快楽の園』の大きさとフォーマットを踏襲したトリプティックです。祭壇画であるにもかかわらず、快楽の誘惑や人間の愚行を細密に描き、今も作品の解釈が議論され続けている、同時期の他の初期フランドル派とは一線を画したボスの「快楽の園」は、本作品のキーワードである「光」と「闇」が、ボスの「天国」と「地獄」に連動し、人間の行為や愚かささえも監視され、中央の空洞(ヴォイド)に帰することを暗示します。
また、WrKレーベルでも活動を共にした飯田博之との共作、decay music (2017)は室内に置かれたシンチレーターにより展示空間を飛び交う放射線(γ線)を捉え、エネルギーの高低を平均律音階へと自動演奏させる作品です。つまり高いエネルギーを感知した時には高い音が、低いエネルギーを感知した時には低い音を奏で、東京、広島、福島、チェルノブイリといった場所によって演奏は異なり、作品が設置された場所や環境が作曲者であり演奏者となります。人間の知覚や感覚を遥かに超えた存在と時間芸術である平均律音階を関連付ける試みは、生命が誕生する遥か以前から存在し、人間の進化や文明に多大な影響を及ぼしてきた放射線や地殻変動といった時間の流れの前では我々の存在はほんの一瞬に過ぎないことに気づかされます。
MISA SHIN GALLERYでは4年ぶりの個展となる、志水児王「window」、ぜひご高覧ください。
志水 児王
東京生まれ。広島県・埼玉県在住。東京藝術大学美術学部大学院修了。1994~2006年、レーベル「WrK」に参加。2008年度文化庁新進芸術家海外研修制度により、2008-2010年コペンハーゲン在住。広島市立大学芸術学部准教授。主な展覧会に、「六本木クロッシング」森美術館(東京/2004)、「釜山ビエンナーレ2008」釜山市立近代美術館(釜山/2008)、「日本のサウンドアート」ロスキレ現代美術館(コペンハーゲン/2011)、「オープンスペース2014」NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](東京/2014-2015)、「Re-actions」三菱地所アルティアム(福岡/2017)、 「第21回文化庁メディア芸術際」 国立新美術館 (東京/2018)、「対馬アートファンタジア」(長崎/2018)など。現在、「瀬戸内国際芸術祭2019」に参加している。