Shinoda Taro, Katsura 05, 2020, Oil on canvas, 120 x 95 cm (47.2 x 37.4 in)
桂 KATSURA
篠田 太郎 Shinoda Taro
Date: Saturday November 14 – Saturday December 26, 2020
Hours: Tuesday-Saturday 12:00-19:00 (Closed on Mon, Sun, Public holidays)
Installation view
Photo:Keizo Kioku
PRESS RELEASE
MISA SHIN GALLERY は、11月14日(土)から12月26日(土)まで、篠田太郎の新作による個展「桂 KATSURA」を開催いたします。
篠田の新作は、麻布のキャンバスにウサギ膠を引き、くるみ油をとき油として使用するなど、油彩画の基本的な素材を用いて制作されています。しかしそれは、私たちが見慣れたペインティングとは一風異なっており、この作品を前にして、どの位置でどのくらいの距離から観るべきなのか、迷いが生じます。麻布のキャンバス自体が大きな余白を作り、その余白は、端から中心部に向かって曲面を描きながら5センチほど窪んでいきます。中心部は平面となっており、抽象的な色の構成やグリッド状の線が、油絵の具によって描かれています。
Shinoda Taro, Katsura 03, 2020, Oil on canvas, 120 x 95 cm (47.2 x 37.4 in)
篠田は、これらのペインティングを制作する過程で、桂離宮に行き着きます。日本における空間の概念が、一般的に言われている二次元や三次元というディメンションの考え方とは異なっていると認識している篠田は、これらは、むしろ桂離宮に象徴される日本の伝統建築の要素が色濃く反映されているペインティングと考えているのです。それは、時空間をひとつの系譜として捉えるという意味において、桂離宮のもつ構造に近いのだと言います。
「私が今回のペインティングで試みたことは、いわゆる西洋的なペインティングという考え方に則ったものではありません。姿、形はペインティングですし、形式的にはペインティングの文脈でも語れるのですが、そのようなストリーム、文脈のなかで、この作品が立ち現れてきているわけではないのです。」
日本庭園の造園家としてキャリアをスタートさせた篠田は、西洋的な時空間の捉え方に違和感を持ちつつ、自分自身の時空間の捉え方をも、それがどのように獲得されたか疑ってかかります。ペインティングを観る距離とは、私たちの様々な共通認識やその延長線上にある生活、社会、文化に基づいた身体的なリアクションでもあるのです。新作シリーズ、「桂 KATSURA」は、それらを再考し、その前提となっているものを問い直すことから始まっています。
MISA SHIN GALLERY では、4年ぶりとなる篠田太郎の個展「桂 KATSURA」を、どうぞご高覧ください。
篠田 太郎 (しのだ たろう)
1964年東京生まれ。造園を学んだ後に作家活動を開始する。一貫して人間と自然の関わりを深く問う作品は、ドローイング、彫刻、ビデオ、 インスタレーションと多岐にわたり、国際的に高い評価を得ている。パブリックコレクションとして、森美術館、ルイヴィトン財団、日産自動車株式会社などに収蔵。さいたま国際芸術祭(2020年)、Martin-Gropius-Bau(ベルリン、2019年)、シャルジャビエンナーレ (2017年)、シドニービエンナーレ(2016年)森美術館(東京、2010年)、広島市現代美術館(広島、2002年)など国内外の展覧会にも多数参加。
Shinoda Taro, Katsura 08, 2020, Oil on canvas, 120 x 95 cm (47.2 x 37.4 in)