Tomatsu Shomei, Plastics, Kujukuri Beach, Chiba, 1987-89 (Printed in 1996), Silver dye bleach print
Tomatsu Shomei
Plastics
Friday February 28 – Saturday April 18, 2020
Re-open to the public: Tuesday June 9 – Saturday June 27, 2020
Hours: Tuesday-Saturday 12:00-19:00 (Closed on Mon, Sun, Public holidays)
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Photo by Keizo KiokuPRESS RELEASE
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MISA SHIN GALLERYは、2020年2月28日(金)から4月18日(土)まで、東松照明の展覧会「プラスチックス」を開催いたします。
日本列島は長い海岸線で縁取られている。
私の作品の多くが、陸と海の境界線で生まれている。
潮が引くと陸の顔になるインターフェイス(境界面)、私のポイント・ロポス*である。 (東松照明)
東松照明は1930年名古屋生まれ、1960年代初頭から米軍基地や長崎など最も社会的な対象をテーマとし、戦後の日本を見つめ続けた日本を代表する写真家の一人です。
東松は、60年代末にアメリカ占領下の沖縄に滞在して以来、同地を撮影した写真集『太陽の鉛筆』(1975年)を境に作品制作をモノクロームからカラーへと転換します。それらのカラー写真は、それまでのモノクロ写真に宿っていたアメリカが影を潜めて、本来の輝きを取り戻すかのごとくに息づきはじめます。
1986年に心臓のバイパス手術を受けた東松は、療養のため東京を離れ千葉の一宮町に転居します。重いカメラをもって撮影することがままならなくなった東松は、近くの九十九里浜に打ち上げられたプラスチックの漂着ゴミを撮影し始めます。
波に揉まれてなお鮮やかな色をとどめるプラチックボトル、砂に埋もれた手袋やポリ袋、もげた人形の手。これら戦後の環境汚染の残骸は、波が引いた後のしっとり濡れた砂紋の上に緻密に構成され、黄昏の薄光の下撮影された作品は、ゴミがあたかも永遠の命を与えられた静物画のような荘厳さを放ちます。
その構成は、1960年代の変貌しつつある都市、東京の路面に埋め込められた釘や鉄くずが宇宙的な深淵のように見える「アスファルト」を彷彿させ、海と陸、都市と文明、過去と未来、自然と人工物といったさまざまなインターフェイスを行き来する事象として存在します。
これまで日本で紹介される機会の少なかった12点のカラー写真から構成される、東松照明の「プラスチックス」、どうぞご高覧ください。
*ポイント・ロボスとはエドワ-ド・ウエストンやウィン・バロックといったアメリカの巨匠たちが最後に たどりついた、地の果ての聖なる場所とされるカリフォルニア州の海岸である。(伊藤俊治)
東松 照明
1930年–2012年。戦後の日本を代表する写真家。愛知大学経済学部を卒業後上京し、岩波写真文庫でカメラスタッフを経て、フリーランスとなる。1950年代から数々の作品を発表し、近年の写真家に多大な影響を与えた。「Sakura and Plastics」メトロポリタン美術館 (ニューヨーク1992年)、「Shomei Tomatsu: Skin of the Nation」サンフランシスコ近代美術館(2004年)、「東松照明:Tokyo 曼陀羅」東京都写真美術館(2007年)、「時を削る」長崎県美術館(2010年)、写真家:東松照明全仕事」名古屋市美術館(2011年)、「Shomei Tomatsu: Island Life」シカゴ美術館(2013年)、「Shomei Tomatsu」Fundación MAPFRE Casa Garriga Nogués Exhibition Hall(バルセロナ、2018年)などの個展が国内外で開催され、「Conflict, Time, Photography」テート・モダン美術館(2014年)、「For a New World to Come: Experiments in Japanese Art and Photography, 1968-1979」ヒューストン美術館(2015年)「PROVOKE BETWEEN PROTEST AND PERFORMANCE – PHOTOGRAPHY IN JAPAN」アルベルティーナ美術館(2016年)などのグループ展にも参加。また今年の6月にパリのヨーロッパ写真美術館にて森山大道との2人展が開催される。