東松照明 Tomatsu Shomei
東松照明 東京 ca.1969
2023年5月26日(金)–7月8日(土)
開廊時間:火−土(日月祝休)12:00-19:00
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MISA SHIN GALLERYは、5月26日(金)から7月8日(土)まで、東松照明の展覧会「東松照明 東京 ca.1969」を開催いたします。
1968年、フランスの五月革命に始まった学生や若者たちによる社会変革運動は、チェコスロバキアのプラハの春、ベトナム反戦運動へと瞬く間に世界に広がっていきました。日本にも飛び火したそのうねりはほどなく全盛期を迎え、新宿はヒッピーや反戦運動などの中心として、混沌とした時代を象徴する場となりました。大学卒業後、東京での生活のほとんどを新宿で過ごしていた東松も、事件を予告する匿名電話が鳴るたびにカメラを持って新宿西口広場に走り、がむしゃらにシャッターを切る毎日でした。
東松は格好の撮影対象であった1960年代末の新宿を舞台に、即興性と身体性を伴いながら、見るものにスピード感とダイナミズムのある臨場感を感じさせる写真を撮影する一方で、変わりゆく都市の断面や建築へのアプローチには、高度成長期における大量生産、大量消費などへの批判と構築性を強く意識した静的なデザイン性へと向けられました。
1960年代後半はまた、既存の価値観や体制に対して問題提起し反発する流れと共に、前衛芸術運動が盛り上がり、美術や建築、演劇や音楽など異なる分野がジャンルを超えて互いに交流し刺激し合った時代でもありました。東松自身も映画制作や展覧会への参加、舞踏家や俳優らとの協働など、貪欲に領域を超えた活動を行なっていました。
本展では1968年前後の新宿の騒乱を撮影した「おお!新宿」をはじめ、東京の路面を走るタイヤによって摩耗し、埋まっていたさまざまなものが立ち現れて都市がマイクロスコピックな様相を呈する「アスファルト」、現代社会の残骸として廃墟のような姿をさらけ出すコンピューターの背面、ストリートパフォーマンスの萌芽といえる「アリバイ」など、日本が最も熱くエネルギーをたぎらせた時代に、写真家として全力で駆け抜けた東松照明の1960年代から70年にかけてのビンテージ写真およそ20点を展示いたします。
東松照明 Tomatsu Shomei
1930年–2012年。戦後の日本を代表する写真家。愛知大学経済学部を卒業後上京し、岩波写真文庫でカメラスタッフを経て、フリーランスとなる。1950年代から数々の作品を発表し、近年の写真家に多大な影響を与えた。「Sakura and Plastics」メトロポリタン美術館 (ニューヨーク1992年)、「Shomei Tomatsu: Skin of the Nation」サンフランシスコ近代美術館(2004年)、「東松照明:Tokyo 曼陀羅」東京都写真美術館(2007年)、「時を削る」長崎県美術館(2010年)、写真家:東松照明全仕事」名古屋市美術館(2011年)、「Shomei Tomatsu: Island Life」シカゴ美術館(2013年)、「Shomei Tomatsu」Fundación MAPFRE Casa Garriga Nogués Exhibition Hall(バルセロナ、2018年)などの個展が国内外で開催され、「Conflict, Time, Photography」テート・モダン美術館(2014年)、「For a New World to Come: Experiments in Japanese Art and Photography, 1968-1979」ヒューストン美術館(2015年)「Provoke Between Protest and Performance- Photography in Japan」アルベルティーナ美術館(2016年)、「Tokyo Revisited」イタリア国立21世紀美術館MAXXI(2022年)などのグループ展にも参加。