Dallas Museum of ArtでGUN(堀川紀夫)の作品が展示中です。
1946 年新潟県中頸城郡(現・上越市)に生まれた堀川紀夫は、1967 年、前山忠、市橋哲夫らをリーダーとする現代美術グループ「新潟現代美術家集団 GUN(Group Ultra Niigata)」の結成に参加。GUN の主要メンバーとしてまた堀川個人としても、新潟県内を拠点にパフォーマンスや制作活動を行ってきました。
1970 年 2 月、十日町を流れる信濃川の河川敷の大雪原を舞台に、農業用の噴霧器で赤、青、黄、緑の四色の顔料を撒き散らしながら描いた巨大な抽象画「雪のイメージを変えるイベント」は、半裸の堀川が赤い顔料の噴霧器を背負い雪に挑んでいる姿とともに羽永、磯俊一によって撮影されました。GUN の活動は新潟という地方を拠点としながら、1960 年代後半から 1970 年代前半にかけて、ランドアートやコンセプチュアルアート、ポリティカルアートなど、世界的な美術の潮流と同調していました。
しかし、ウォルター・デ・マリアなどのアメリカのランドアートが、過熱した商業主義への批判として遠隔の地に崇高を求め、自然に向かったのに対し、現代美術市場が萌芽状態であった日本において、河川敷は、美術館などの「制度外」の選択肢の一つとして機能していました。降り続ける雪のため 30 分と存在しなかった雪原上の絵画は、日本を代表するランドアートの一つに数えられるでしょう。